高専生英語できない問題は本当なのか

はじめに

香風智乃すき(I am very love to kafuu chino.)

 

正確には「高専生英語できない問題」というより「高専生,高校生と比べて英語できない問題」について書いています.

本題

  • 高専生はそれなりの入試を経ているので,さっぱり英語ができないというわけでもない.
  • 進学予定の高校生は自主的に英語を学習するインセンティブがある.進学のためには高校の授業で用意されている時間は少なすぎるので,結果として授業外で学習することになる.
    対して,高専生は編入を目指さない限り単位を落とさない程度の学習で十分であり,それには授業時間のみの学習で事足りる.この辺が進学予定高校生との差に響いてきそう.
  • 一方,進学しない or 進学するけど英語の試験がない高校生というのもたくさん(大学進学率から考えて少なくとも5割以上)いて,彼らの英語学習に対するモチベは高専生と変わらない気もする.
  • 各種試験(英検,TOEICTOEFL,GTEC)の成績の違い(高専生は高校生よりかなり低い)がよく言われるけど,そもそもそういった試験を受ける高校生は平均を上回る程度には英語学習を積極的にやっているので,これだけを見て高専生の英語力を推し量るのは正しくない.

結論

高校生と比べてはちゃめちゃに英語できないというわけでもないけど,まあ平均レベルではあると思う.というか,そうであってほしい.

「美少女に支配されたい」?「美少女に服従したい」?

はじめに

美少女の靴を舐めたい

概要

「支配される」と「服従する」との差異はなんでしょう.単に受動態と能動態の違いだとも思われますが,本当にそうでしょうか?

これらの差異や政治学的な取り扱いについては,日本を代表する政治学者の丸山眞男が,『支配と服従』(『現代政治の思想と行動』および『政治の世界 他十篇』所収.現在は後者が最も入手しやすいと思われます)という論考で詳しく考察しています.

政治の世界 他十篇 (岩波文庫)

政治の世界 他十篇 (岩波文庫)

 

この記事では,『支配と服従』の内容をなるたけわかりやすくまとめてみようと思います.なお,記事中で扱う「支配」「服従」という語は別に価値判断を含んでいないことを付言しておきます.

1. 定義

一方の人間(あるいは人間集団.以下同じとします)が他方の人間に対して継続して優越的地位にあり,それにより後者の行動様式が継続的に規定される場合,客観的にみて従属関係が生じます.支配あるいは服従という関係は,かかる従属関係の特別なパターンとして捉えることができます.

定義というか辞書的説明としてはこれだけの話で,割と簡明なのですが,これでは考察を掘り下げようもありません.もう少し具体的な説明が欲しいところです.とはいえ,ある従属関係を取ったとき,それが支配・服従関係に妥当するのかどうかを明確に線引きするのは非常に難しいので,とりあえず例を挙げて考えてみることにします.

2. 教師と学生,主人と奴隷

学生が教師に「服従」しているというのは,あまり違和感なく受け取れる事実だと思います(先述したとおり,「服従」という語には価値判断を含んでいないことに留意してください).

一方,教師が学生を「支配」していると言い切れるかというと,これは微妙になってきます.ここで重要なのは,支配関係の有無に関わらず権力関係が発生していることです.教師は学生に何かを命じたり,何かを禁じたりすることができます(し,現にしています.勉強せよ,放蕩するべからず!). さらにまた,学生の違背に対して罰を以て報いることも可能です(叱責,留年,退学……).こうした権力関係は自然に(先験的に)教育と密着していますが,しかし支配関係は発生していません.

では,支配関係が発生している事例にはどのようなものがあるでしょうか.パッと思いつくのは,古代の奴隷制ですね.この場合は明白に支配が成立しています.

教師と学生の関係・主人と奴隷の関係の差異はなんでしょうか? 丸山は,利益志向の同一性と対立性をその差異として挙げています.

教師と学生の求めているものは本質的に同じです.学生は教育を受けることで人格的ないし学問的な向上を目指しており,教師もまた学生の人間的完成を志向しています.教師が学生に加える罰も,かかる志向のもとでのみ成立します.ここにあって,教師は権威となり,学生は権威に服従するのです.

一方,主人と奴隷はその目標とするところが完全に異なります.主人は奴隷を最大限使役すること,奴隷は主人の使役から最大限逃れることを目指しています.奴隷は主人を範とすることなく,ただ物理的強制力のために労働することになります.ここで,主人から奴隷への一方的な支配関係が成立します.

こうして,記事タイトルに掲げた問いへの答えがとりあえず出てきそうです.屈服プレイにも種々様々ありますから一概に支配であるとか服従であるとかは言えませんが,ぼくは美少女に服従したい方ですね.美少女に服従するということについて詳しく語るとキモくなるので避けますが.

ここからは歴史的・政治制度的な話になります.

3. 支配と服従の歴史

一般に,古代社会は服従によって成り立っていました.族長という権威への同方向的な服従がコミュニティを支えていました.一方,社会が近代化するにつれ,支配集団と被支配集団との目的は別々の方向を向いてゆきます.人間の歴史は,極めて大ざっぱに述べて,服従関係から支配関係への転換の歴史ということになります.

さてここで,パラドキシカルですが,政治的支配が純粋な支配関係のみでは成立しないという問題が発生します.奴隷制的支配にあっては,奴隷が主人に自発的服従を以て仕えることはなく,形式的な「服従という事実」のみが生じ得ます.名前忘れたけどなんか偉い人が「奴隷労働は最も非効率的な労働形態である」と述べたのはそのためです.政治的にもそうであって,純粋な支配によって成り立つ支配機構は,抑圧のためにいたずらに巨大な装置を用意する必要に追われます.

したがって,支配者は多かれ少なかれデモクラティックな制度を立ち上げ,被支配者に譲歩し,同時に被支配者との同一化を図ることになります.ここに至って,デモクラシーという仕組みは,支配の事実を「隠蔽」して被支配者の協力を得るための偽装装置と相成ります.もちろん,かかるシステムが支配集団によって意識的に偽装として運用されるかと言えば,決してそうでもありません.現代に至るまで,徐々に支配集団がその自覚性を増してきたというあたりが本当だと思われます.

現代にあっては,この「偽装装置」であるデモクラシーを,いかにして制度的な,真に表現的なものと変えていくかが問題となります.ここで思い出すべきは,支配と(自発的)服従との差異が,両集団の利益志向同一性の有無にあったことです.社会を利益共同的な集団とし,価値の寡占を防ぐことが一種の処方箋たりうるのではないか,と考えられます.

おわりに

勢いで書いたものの,頭から読み返してみたら長いし晦渋でわけわからんですね.

3節は端折った部分が多いので,もう少し支配と服従についてちゃんと考えたい人は丸山の著書を買ってみてください.

新年度になった

4年生になりました.月日が経つのははやいものですね.

今年度は編入試験に向けて全力を注がなければならないシーズンになります.甘えることなく精進していきたいと思います.

部活動(プロコン含む)にはあまり関われそうにないです.競技部門のルールをちょっと読みましたが,昨年の大会から大幅に変わったわけではないので,もしかしたら後輩のチームに少し協力することになるかもしれません.

時間割を見ての感想ですが,全体として授業時間数が減っていてうれしいです.生じた剰余時間を有効活用していきたいですね.水曜日は90分授業3コマ分も数学の講義が入っています.うれしいような,しんどいような気持ちです.

そういえば,今年2月に受験した TOEIC IP の点数が返ってきました.完全に無対策の状況で受けたので点は良くないだろうと想像していたんですが,それにしても酷い点数でした.次回受験でリベンジできるよう対策を積んでいきたいと思います.

今年度もよろしくお願いします.

第26回コンピュータフェスティバル競技部門に参加しました

宇部高専で開催された第26回コンピュータフェスティバルの競技部門に参加し,なんと優勝を勝ち取ることができたので,嬉しさが残ってるうちに記事をしたためておこうと思います.

参加記事は誰かが部のブログに書いてくれると思うので,主に技術的なことを残しておきます.

基本的な気持ち

最良優先探索(priority_queue を使った探索)で5ターン分先読みし,各状態について評価し,もっとも評価値の高かったものを採用するようにしました.

探索結果は保持せず,ターンが進むごとに一から探索しています.

評価関数

以下の5つを評価用のメトリクスとして採用しました.

  1. タイル点による利得
  2. 自チームで領域を形成することによる利得
  3. 相手チームの領域を破壊することによる利得
  4. 自チーム両エージェント間の距離
  5. 移動先での自由度

1. 2. 3. は特に説明しなくても大丈夫だと思います.付け加えるとすれば,領域点よりタイル点の方に多少加重しました.これは理論的な根拠があるわけではなく,テストプレイを積み重ねての実感に依拠しています.領域点を重視すると,いきおい「大風呂敷」を広げがちになり,安定した得点を得られなくなります.

4. についてですが,エージェントがくっついてもいいことはない(とりうる行動が制限される,相手が遠くで策動しているのを防げない,などの弱点ばかりが目立つ)ため導入しました.5. は,自チームのタイルがあらかた置いてあったり,隅っこだったりするところにあまり行かないようにするため設定しました.
これらのメトリクスは,マップのタイル得点の状況に依存しない数値なので,重みを固定した場合,全体として高得点なマップにおいては 1. 2. 3. との不均等が生じてしまいます.そこで,マップのタイル得点の平均値を計算し,それに応じて 4. 5. の重みを動かすようにしました.

また,体感として,タイルによって得点の上下が激しいマップほど領域点が大事になる気がしたので,タイル得点の標準偏差を求め,それがしきい値を超えた場合に 1. の重みを増やすようにしています.

対戦前の時点で,ぼくとソルバで対戦した場合は9割方ソルバが勝つ,くらいの強さまで持っていけていたはず……です.

対戦の結果

1戦目が一番大変でした.与えられたマップが線対称性を前提しておらず,読み込みの時点でエージェント座標をバグらせてしまいました.また,この混乱により,最初の2ターンはロスしました.最終ターンでなんとか逆転して僅差の勝利です.

以降は,上記の不具合も修正し,ソルバも順調に動いたので,基本的にうまく戦えたと思います.たまに,人間からすれば不合理に思える手(-99点のタイルを占領しにいく,序盤10ターンの間ひたすら前進するなど)もありましたが,ソルバを信頼するように努めていました(こう書くと美しいですが,実際には人力モードへの切り替えを導入していなかっただけです).また,コリジョンが連発することもあり,特に決勝では10ターンくらい睨み合っていましたが,この辺も柔軟に対応できるようシステムを作っていなかったので,我を通しつづけた感じです.

所感

この辺の考察を昨年9月の段階でやっておきたかったですね.

基本的なアルゴリズム自体はプロコン本選のものと一緒なんですが,当時は実装力が弱かった(今が強いというわけでもありませんが)ので,かなりひどいコードでした.冬休みの期間にその方面のコードを読み込み,いい感じのプラクティスを吸収できたのが活きてきたんだと思います.

はじめての制御工学:第14講

内容

ループ整形法について.

フィードバック制御系の開ループ伝達関数 L(s)が持つ周波数特性を好ましいものにするため,ループ整形法なる手法を用いることがある.以下に詳説する.

具体的に必要な特性は,たとえば以下のようになる.

  • 定常特性:低周波数帯域でのゲインが小さくなる.
  • 即応性:ゲイン交差周波数が十分高くなる.
  • 減衰性:位相余裕 PMが十分大きくなる.
  • ロール・オフ特性:高周波数帯域でのゲイン変化が急になる.

これらを満たすために,位相遅れコントローラと位相進みコントローラの2つを利用する.伝達関数はそれぞれ C(s) = \frac{s + \omega_1}{s + \omega_2}, \omega_1 \lt \omega_2 C(s) = \frac{\omega_3}{\omega_4} \frac{s + \omega_4}{s + \omega_3}, \omega_3 \lt \omega_4である.一般には,これらを複数つなぎ合わせてコントローラを構成する.

ロール・オフ特性について.通常,フィードバック制御系には観測ノイズ n(t)が制御対象からの出力に混入する.観測ノイズの影響を少なくするには,観測ノイズが存在する周波数帯域での開ループ伝達関数のゲインを急激に落とす必要がある.

感想

ようやく一通り終わりました.なせばなるものですね.

とはいえ,一周目なこともあり,詳細な計算を追っかけたり,付録に回されている導出過程を読んだりがほとんどできていません.このあたりは二周目以降でフォローしていきたいと思います.

はじめての制御工学:第13講

内容

Nyquist の安定判別法について.

系の開ループ特性を考えたとき,伝達関数が安定となるようパラメータを選べても応答の振動が激しくて困ったことになる場合がある.実用上十分なほど安定することを安定余裕があると呼び,そうでない場合(めっちゃ振動する場合など)は安定余裕がないとか小さいとか呼ぶ.以下,系が安定余裕を持っているかどうか判別する方法について考える.

フィードバック制御系の分母多項式 N_p(s) N_c(s) + D_p(s) D_c(s)で表され,この根は閉ループ極と呼ばれる.ここで, N_p(s), D_p(s)はそれぞれ P(s)の分子及び分母であり, N_c(s), D_c(s)はそれぞれ C(s)の分子及び分母である.以前触れた通り,閉ループ極の実部が全て負であれば系は内部安定となる.

さて,いまフィードバック制御系の4つの伝達関数の分母に出てくる 1 + P(s)C(s) N_p(s), D_p(s), N_c(s), D_c(s)で書いてみると,分母は D_p(s) D_c(s)となる.ここでその根を開ループ極と呼ぶことにする.

このとき,系の設計にあたっては開ループ極のうち不安定なものの個数 Zが知りたいのであって,閉ループ極のうち不安定なものの個数 Pは既知であることが多い.Nyquist の安定判別法は, Pがわかっている状態で Zを与える手法である.

(導出はサボったが)Nyquist の安定判別法は以下の手順からなる.

  1. 開ループ伝達関数のベクトル軌跡 L(i \omega) = P(i \omega) C(i \omega)を描く.
  2. 描いたベクトル軌跡と実軸対称な軌跡を描く.これは \omega: - \infty \to 0として軌跡を描くことにほかならない.こうしてできた軌跡と先のベクトル軌跡を合わせて Nyquist 軌跡と呼ぶ.
  3. Nyquist 軌跡が複素平面上の点 -1を時計回りに回る回数を 1,反時計回りに回る回数を -1としてカウントしていき,その合計を Nとする.
  4.  N = Z - Pである.したがって, Z = N + P 0なら系は内部安定である.

さて,実際には P = 0となるようコントローラを設計することが多い(安定な制御対象に安定なコントローラを付ける場合).このとき,簡略化された Nyquist の安定判別法を利用できる.具体的には,Nyquist 軌跡が点 -1を常に左手に見つつ原点へ収束するなら系は内部安定であり,そうでなければ系は不安定となる.

最後に,安定余裕の測定について考える.ここでは簡略化された Nyquist の安定判別法について限定する.Nyquist 軌跡が点 -1を十分な距離を保ちつつ左手に見ていれば系は余裕を持って安定となる.したがって,ベクトル軌跡と点 -1との距離を反映する指標が安定余裕の判定に役立つことがわかる.

ここで,ゲイン交差周波数 \omega_{gc}と位相交差周波数 \omega_{pc}なる値を導入する.それぞれ, |L(i \omega_{gc}) = 1|, L(i \omega_{pc}) = - \pi)を満たすような角周波数である.このとき,位相余裕 PM = \angle L(i \omega_{gc}) + \piが大きいほど系は安定余裕を大きく持ち,ゲイン余裕 GM = \frac{1}{|L(i \omega_{pc})|}が大きいほど,系は L(s)の増大による安定性の喪失を来しづらくなる.ゲイン交差周波数と位相交差周波数はボード線図をじっと睨むことで得られる.

感想

大変遅くなりました.そして長くなりました.

最後の方になるとダラダラしてしまってダメですね.

ところで,制御工学をサボってるうちに試験週間に突入してしまいました.もっとも試験勉強もサボってるんですが.本格的に試験が始まる前に制御工学を終わらせてしまいたいですね.あと1講!

はじめての制御工学:第12講

内容

ボード線図と周波数伝達関数について.

高次の伝達関数について,部分分数分解をほどこして個別に周波数特性を求めてから合成してもともとの周波数特性を求められる.

2次遅れ系ではゲイン K = 1でもゲイン線図が 0デシベルを超えることがある.これを共振と呼ぶ.

ゲインが -3デシベルに達する周波数をバンド幅と呼び,系の入力追従特性の指標となる.

ステップ応答について考える.ステップ応答は(Fourier 変換を見ることで明らかに)無限の周波数成分を含んでいる.高周波数帯域についてはゲインが負となるため,ステップ応答はすぐさま1に収束することなく(ステップ信号と同一でなく),適当な時間を経たのちに収束する.

系の伝達関数 G(s)がわかっている場合, G(i \omega)なる関数を周波数伝達関数と呼ぶ.周波数伝達関数の大きさはゲインと関係し,偏角は位相差を表す.したがって,周波数伝達関数を見ることで系の周波数特性を分析できる.

周波数伝達関数 \omegaを変数とする複素平面上のベクトルと見なせるから, \omega 0から \inftyまで変化させたときにベクトルがどう動くかを考えると周波数特性の分析に役立つ.ベクトルの軌跡を(そのまんま)ベクトル軌跡と呼ぶ.ベクトル軌跡もボード線図と同じく周波数特性を表す図だが,一つの図に大きさと偏角を同時に描きこめるのが利点である.

感想

大遅刻ですね.ごめんなさい.2日も空いてしまいました.

追記

 G(s) s = i \omegaを代入しているのは,要するに Laplace 変換のかわりに Fourier 変換をしているのに等しいです.通常 Fourier 変換は積分範囲を \mathbb{R}全体で取りますが,入力信号が t \lt 0 0となることから正実数全体での積分である Laplace 変換に機械的に代入することが正当化されます.