学業
とにかく課業に追われた一年間だった.S セメスターには代数・Lebesgue 積分論・複素解析・確率が,A セメスターには幾何・アルゴリズムがそれぞれあって,更に毎週 5 コマの演習が入っていた.これに加えて実験があったり,数学以外の講義もあったりで,特に 6 ~ 7 月は疲弊していた (気がする).しかし,おかげでかなり力はついた.長年やろうやろうと思いながら先送りにしてきたこと (具体的には,Lebesgue 積分論と測度論的確率論) をきちんと学べたのは有意義だった.
課外では,数理最適化や PQC の自主ゼミをした.加えて,集合・位相,多様体,応用線形代数,深層学習あたりを個人的に勉強していた.
趣味
広義神田に足繁く通うようになった.特に神保町近辺の雰囲気が好きで,よく行っている.
山に登りはじめた.とはいっても本格的な登山ではなく,ハイキングと登山の中間くらいのレベルだが…….帰省した際,母校の教員と会って登山の話をしたら,「エンジニアは山に登りがち」と言われた.分かる.
お酒は相変わらず飲んでいるが,去年よりは頻度が落ちた気がする.
そのほか
- ゲームを全然しなくなった.する時間がないのと,買うお金がないのと,よしんば条件が揃ったとしても楽しむ体力がないのとが原因だと思う.
- 大学へ (物理的に) 行くことが去年より増えた.これと関連して,家から出ることが増えた.
- いままでに比べて,日本中のいろんなところに行った一年間だったと思う.九州に初上陸した.
- 情報処理安全確保支援士試験に合格した.登録は現時点でしていないし,しばらくするつもりもない.
- そろそろ将来のことを真剣に考えなければならない時期になった.頭が痛い.
読書
2022 年中に夏目漱石の長編を全部読もうという謎の決意を固めて,実際全部読んだ.面白かった.とはいえ,深い読み方ができたとは思えないが…….
印象に残った本:
- 『「知」の欺瞞』は,帰省中に飛行機の中で読んだ.有名な本なので今更という感じはするが.とても面白かった.
- 駒木明義『安倍 VS. プーチン』は,北方領土をめぐる日露交渉を綿密に追い,その問題点を明らかにしている.内容がたいへん充実していた.
- 『罪と罰』は何度目かの再読で,ゴールデンウィーク中に読んだ記憶がある.
- 『国民の天皇』は,主に戦後の天皇のあり方を詳細に描いている.かねてから昭和天皇という人物に強い興味があったが,主に戦前から主権回復前までの期間ばかり追っており,戦後,とくに国民との繋がりで昭和天皇を見たことはあまりなかった.そうした中でこの本を読んだが,非常に興味深く,昭和戦後史への興味をかきたてられる一冊だった.
- 岡義武『近衛文麿』は去年か一昨年も読んだ気がするが,何度読んでも面白い.近衛をやや軟弱に書きすぎているきらいはあると思う.
- 『オーウェル評論集』は,有名な短編である『絞首刑』『象を撃つ』のほか,書評や文芸評論が収録されている.英文学に疎いため文芸評論はうまくのみこめなかったが,その他は面白く読めた.
今年読んだ本:
- 夏目漱石『吾輩は猫である』
- 夏目漱石『こころ』
- 宮沢俊義『転回期の政治』
- 小林憲正『地球外生命』
- 夏目漱石『坊っちゃん』
- アラン・ソーカルほか『「知」の欺瞞』
- 若槻礼次郎『明治・大正・昭和政界秘史』
- 筒井康隆『おれに関する噂』
- 鈴木美勝『北方領土交渉史』
- 夏目漱石『それから』
- 夏目漱石『三四郎』
- テッド・チャン『あなたの人生の物語』
- 藤原帰一『戦争の条件』
- 中村元『ブッダ伝』
- 川田稔『原敬と山県有朋』
- 栗田直樹『原敬日記を読む』
- 小泉悠『現代ロシアの軍事戦略』
- 斉藤環『承認をめぐる病』
- 宇野重規『民主主義とは何か』
- グイド・カルダレリほか『ネットワーク科学』
- 服部龍二『中曽根康弘』
- 王銘琬『棋士と AI』
- 小平邦彦『怠け数学者の記』
- カミュ『ペスト』
- 小森陽一『漱石を読みなおす』
- 夏目漱石『満韓ところどころ』
- 多木浩二『天皇の肖像』
- 榊原喜佐子『徳川慶喜家の子ども部屋』
- 倉本一宏『蘇我氏』
- 金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』
- ラッセル『幸福論』
- 深沢七郎『楢山節考』
- 原彬久『戦後史のなかの日本社会党』
- 駒木明義『安倍 VS. プーチン』
- 清水唯一朗『近代日本の官僚』
- ドストエフスキー『罪と罰』
- 夏目漱石『行人』
- アマルティア・セン『不平等の再検討』
- 三島由紀夫『金閣寺』
- マイケル・ルイス『最悪の予感』
- 夏目漱石『二百十日』
- 夏目漱石『野分』
- 夏目漱石『草枕』
- 大江健三郎『あいまいな日本の私』
- 清水幾太郎『ジャーナリズム』
- 沼野恭子『ロシア文学の食卓』
- 夏目漱石『坑夫』
- カール・シュミット『現代議会主義の精神史的状況』
- 夏目漱石『虞美人草』
- シュレーディンガー『生命とは何か』
- 中野麻美『労働ダンピング』
- エドワード・W・サイード『人文学と批評の使命』
- ケネス・J・ルオフ『国民の天皇』
- カント『道徳形而上学原論』
- 夏目漱石『門』
- コンスタン『近代人の自由と古代人の自由・征服の精神と簒奪』
- エドワード・W・サイード『知識人とは何か』
- カント『啓蒙とは何か』
- ウォーラーステイン『史的システムとしての資本主義』
- 上野千鶴子『家父長制と資本制』
- ロールズ『公正としての正義 再説』
- 福沢諭吉『福沢諭吉教育論集』
- 末木文美士『日本思想史』
- 村上春樹『アンダーグラウンド』
- ハンナ・アーレント『政治の約束』
- 山本健太郎『政界再編』
- 夏目漱石『道草』
- 宮崎市定『科挙』
- 中北浩爾『自民党』
- 本村凌二『ポンペイ・グラフィティ』
- 中北浩爾『日本共産党』
- 夏目漱石『彼岸過迄』
- 池内恵ほか『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』
- 水木しげる『あの世の事典』
- 夏目漱石『漱石文明論集』
- アブー・ヌワース『アラブ飲酒詩選』
- 養老孟司『バカの壁』
- 岡義武『近衛文麿』
- 筒井清忠『陸軍士官学校事件』
- E. H. カー『危機の二十年』
- 山端宏美『みずほ銀行システム統合 苦闘の 19 年史』
- 伊井直行『岩崎弥太郎』
- 小泉悠『ロシア点描』
- 立岩真也『弱くある自由へ』
- 澁澤龍彦『私の戦後回想』
- 松本哉『寺田寅彦は忘れた頃にやって来る』
- 夏目漱石『明暗』
- ファインマン『ご冗談でしょう、ファインマンさん』
- オーウェル『オーウェル評論集』
- 鈴木伸子『山手線をゆく、大人の町歩き』
- 前田健太郎『女性のいない民主主義』
- 筒井康隆『文学部唯野教授』
- オマル・ハイヤーム『ルバイヤート』
- 松里公孝『ポスト社会主義の政治』
- アーシュラ・K・ル・グウィン『ゲド戦記 I』~『ゲド戦記 III』
- 塩川伸明ほか『社会人のための現代ロシア講義』
- ファラデー『ロウソクの科学』
- 原武史『「昭和天皇実録」を読む』
- 筒井清忠『大正史講義』