はじめての制御工学:第7講

内容

極と安定性について.

系の極の実部がすべて負である場合,最終値定理を使って定常値を計算できる.

任意の応答が有界ならばその系は安定(stable)であると呼ぶ.線形時不変系の場合は単位ステップ応答についてのみ有界性を見ればよい.

分母多項式が高次になると極を具体的に求めるのは困難であるから,Routh の安定判別法を用いて検証する.

感想

ようやく半分ですね.長い道のりだった.

はじめての制御工学:第6講

 内容

2次遅れ系の応答や特性について.

2次遅れ系の伝達関数の一般式は以下のようになる:
 G(s) = \frac{K \omega_n^2}{s^2 + 2 \zeta \omega_n s + \omega_n^2}

かかる伝達関数の極は,
 \alpha, \beta = - \zeta \omega_n \pm \sqrt{\zeta^2 - 1} \omega_n
となり,一般にこれは実数であるとは限らない.

さて,この系のインパルス応答を求めるには伝達関数を逆 Laplace 変換すればよい.式は省略するが, \zetaの値によってインパルス応答は3パターンに分類される.

  •  0 \lt \zeta \lt 1 の場合,不足減衰
  •  \zeta = 1 の場合,臨界減衰
  •  \zeta \gt 1 の場合,過減衰

このうち,不足減衰は振動的である.もう少し一般に言うと,極に虚部が存在する場合,応答は振動する.ステップ応答についても同一である.ただし,ステップ応答の場合,臨界減衰と過減衰ではオーバーシュートが発生しない.

極と応答の関係を詳しく見ると,以下のことがわかる.

  • 極の実部の絶対値が増大するにつれ,応答の収束は早くなる.
  • 極の虚部の絶対値が増大するにつれ,応答の振動周波数は高くなる.

システムが複数の極を持つ(ただし,いずれも実部は負とする)場合,もっとも実部の絶対値が小さいような極がシステムの応答に強い影響を与える.かかる極を代表極と呼ぶ.

感想

急に計算が増えてちょっと慌てちゃいました.

はじめての制御工学:第5講

内容

系の応答特性について.

系にある種の信号(ステップ信号やインパルス信号)を与えたときの応答が,十分な時間を経た後に一定値に収束するかどうか,収束するとしたらどのような値になるか,といった特性を定常特性と呼ぶ.また,初期値から収束に至るまでの応答の変化を過渡特性と呼ぶ.

特性に関する代表的な指標は以下の通り:

  • 定常値:ステップ入力に対する応答y(t)について,t → ∞としたときの極限値
  • 立ち上がり時間:y(t)が定常値の10\%から90\%に達するまでの時間.立ち上がり時間が短いほど系は早く収束する.したがって,立ち上がり時間は系の速応性を評価するための指標である.
  • 遅れ時間:y(t)が初期値から定常値の50%に達するまでの時間.立ち上がり時間と同様な目的の指標.
  • オーバーシュート:y(t)の最大値と定常値との差を,定常値との割合で示したもの.オーバーシュートが大きいと,それだけ系の収束は遅くなる.したがって,オーバーシュートは系の減衰性を示す.
  • 行き過ぎ時間:y(t)が最大値に達したときの t.
  • 整定時間:y(t)が定常値の \pm 5 \%以内に収まるようになるまでの時間.

例として,1次遅れ系の特性について考える.伝達関数は一般に
 G(s) = \frac{K}{Ts + 1}
で表されるが,このときステップ応答は
 y(t) = K(1 - e^{-\frac{t}{T}})
となる.したがって, Tが大きくなるほど速応性は低下する.特に,こうした Tには時定数なる名前がついており,単位ステップ応答が定常値の 63.2 \%に達するまでの時間を表している( t = Tとして計算すればわかる).

また,伝達関数の分母 Ts + 1の根である s = -\frac{1}{T}は,ステップ応答のべき部分に現れていたりする.したがって,伝達関数の極が応答特性に影響を及ぼしていることがわかる.これについては第7講以降で詳しく扱う.

感想

2年次の実験で時定数が出てきた記憶があるんですが,ここでようやく時定数の正体に迫ることができてやや感動的でした.

はじめての制御工学:第4講

内容

ある種の入力(e.g. インパルス信号,ステップ信号,ランプ信号)の入力に対する系の時間的出力を考えたい.すなわち, u(t)なる出力を与えた際のy(t)を見たい.このような場合,応答を計算することになる.

応答を計算するには,入力信号の Laplace 変換と伝達関数Laplace 変換をかけあわせ,逆 Laplace 変換すればよい.特に,単位インパルス関数の Laplace 変換は 1となるため,インパルス応答は伝達関数の逆 Laplace 変換と一致する.

感想

たたみこみ(合成積)について.
以前大日本図書の『新応用数学』でたたみこみの概念に触れたときは,動機が示されず定義から入ったので,若干機械的な印象を受けました.この教科書では,応答の計算という一つのモチベーションのもとに導出してから定義を出していたので,親近感を持つことが多少はできたかな?と思います.

はじめての制御工学:第3講

内容

あるシステムの入力 u(t),出力 y(t)Laplace 変換をそれぞれ U(s), Y(s)とする.いま, Y(s) =G(s) U(s)なる関係がなりたつとき, G(s)をかかるシステムの伝達関数という.

入力と出力の関係を視覚的に捉える方法としてブロック線図がある.等価なブロック線図による置き換えを繰り返すことで伝達の様子を単純化できる.

機械系と電気系のような異なる系でも,伝達関数が(たかだか定数倍の差を除いて)同一となることがある.これは,異なるシステムを統一的な視点から扱えることを意味する.このような性質をシステムのアナロジーという.

感想

ラブプラス変換

はじめての制御工学:第2講

内容

制御の対象となるシステムの数学モデルについて.

入力関数 f(t)と出力関数 y(t)との関係を式で表す. y(t) = \frac{f(t)}{K}のように,微分方程式の形を取らないシステムを静的システムという.一方, \frac{d y(t)}{dt} + y(t) = f(t)のように,微分方程式として表されるシステムを動的システムという.

例として,ばねのシステム(入力を力,出力を変位とみたもの)は静的システムであり,ダンパや粘性摩擦力のシステムは動的システムである.

電気系について考えると,たとえば R-L-C 回路は動的システムをなす.

電気系と機械系の混合システムを考えることができる;好例が直流モータのシステムである.

動的システムの入出力関係を考えるには微分方程式を解く必要があるが,一般にそれはめんどくさい.そこで,Laplace 変換を用いて入力と出力の関係性を考察したい.次講以降で Laplace 変換による伝達関数の導出などについて扱う.

感想

回路が難しかった(電気系ド素人並の感想)

はじめての制御工学:第1講

はじめに

ふと,専門(情報系)以外の勉強もしたくなったので,制御工学に手を出すことにしました.参考書には↓を使っています.

はじめての制御工学 改訂第2版 (KS理工学専門書)

はじめての制御工学 改訂第2版 (KS理工学専門書)

 

できるかぎり一日1講のペースを保ちたいですが,後半になると内容が難しくなるのでちょっと不透明です.

制御工学をがっつり使うわけでもなく,単に教養として一通りやっておきたいだけなので,ゆるゆる進めてきたいと思います.

記事中に誤って認識している箇所などがあればご指摘いただけるとありがたいです.

内容

(第1講は復習的な内容なので,ほとんど新しい学びはないです.)
微分の物理的な意味,微分方程式,指数関数,制御の意味など.

システム(系)を扱うに当たっては,それを数学的モデルに落とし込んで考えることができるとうれしい.

制御とは操作量(入力)を調整することで制御量(出力)を望ましいものに保つことであり,大きく自動制御,手動制御,シーケンス制御(あらかじめ定められた手順に従って制御する方式)に分けられる.
自動制御は重荷,フィードバック制御(出力を適宜検知し,それに応じて入力を変化させる方式),フィードフォワード制御(出力の検知を行わない方式)からなる.入力と出力の関係が明確にわかっている場合はフィードフォワード制御を十分利用できるが,そうでない場合は困る.

感想

特にないです.(なんだこのセクションは)